日経平均 | 19,393.7 |
TOPIX | 1,571.5 |
騰落レシオ | 119.5% |
RSI | 62.3% |
乖離率 | 0.26% |
売買指数 | 34 |
林野は、『期待しない』、『期待しない』と自分に言い聞かせていた。
自分みたいな男が彼女を誘って断わられるのは当然であり、受けてくれる方が奇跡である。
だから、期待して断わられた時の心理的ダメージを受けないために、予防線を張ると言うのが、林野の今の性格であった。
だから、かなり軽く『オレで良かったら、教えますよ。』と、彼女に言ったのである。
断わられたら、笑いに変えられるように。
が、林野の予想は、良い方へと大幅上方修正された。
それも、ストップ高連発くらいに!
「ホントですか?」
目を輝かせた彼女が、上半身を起こし、ガシッと両手で前座席の肩部分を持って、勢い良く林野を覗き込むような体勢になりながら言って来た。
「ええ、いつでも良いですよ。」
予想外の反応に、心の中は大慌ての林野であったが、悟られないように努めて平然に答えた。
が、平然と答えたと思っていたのは林野だけで、そばで第三者が聞いていれば、『何上ずってるんや、コイツ!』と感じたに違い無かった。
「ホント、ホントですか!?」
彼女の声には、喜びの色が塗られていた。
「ええ。」
長く話すと悟られると思い、一言で返す林野である。
林野の承諾を聞くと、前のめりになっていた彼女は、座席に伸びをする感じで、仰向けに倒れ込んだ。
「やったー!」
腕を前で上下させたりして、全身で喜びを表現している彼女の姿をバックミラー越しに見て、それ以上に大喜びしたくなる林野である。
一通り喜んだ彼女は、再び前のめりになって、林野に話しかけてきた。
「例えば今日は?林野さんの仕事終わるの待ちますから。」
「あ、いいですよ。オレ、6時上がりなんで。赤松さんを京都駅で降ろしたら、そのままタクシー車庫に戻して京都駅に戻って来ますよ。」
悟られないよう、悟られないよう、注意しながら話す林野である。
「じゃ、あたし、花の舞に行ってますね、3178チムニーの。」
「分かりました。6時過ぎには行けると思います。」
3178チムニーの花の舞と言うことで、いつもと違って正規のタクシー降り場で彼女を降ろして、車庫に向かった。
逸る心を抑えつつ、ここで焦って事故でも起こせば全てパーだと自分に言い聞かせながら、いつもより安全運転で車庫に向かった林野であった。
①勝負は、拙速を好む
②固まってはならない
③10戦3勝7分を目指せ
④小損は大損の仇なり
⑤勝てると信ずるべし