151124










日経平均19,924.9
TOPIX1,605.9
騰落レシオ130.4%
RSI76.0%
乖離率1.17%
売買指数200



結衣は、iPadのチャートをジッと眺めていた。




「このチャートで見たら、今年の8月の場合は4月に騰がり始めたところで買っていいんですか?」




結衣から当たり前の質問である。




「それはダメ。」



「ダメなんですかぁ〜。」




結衣が、説明を求めるような目をする。


騰がり始めたところで買いといっていながら、直ぐにそれを否定しているのだから無理もない話しである。










「4月って言ったら、はち、なな、ろく、ご、よん、権利月の5ヶ月前でしょ。」




指折りながら林野が数える。




「はい。」



「理由は二つあるんだけど。まず一つ。早く買うとそれだけ相場に資金を晒すことになるでしょ。相場に資金を晒す時間が長いと、この間のチャイナショックの時みたいに、暴落を食らって安く仕込めるタイミングを逃して、資金効率が悪くなる。」




基本的に優待銘柄は、相場状況の変化に強い。


それも、権利月に近づけば近づくほど強いのである。


だから初心者は、権利月が遠い銘柄には手を出さない方が無難なのである。




「もう一つは、その月が権利月の銘柄は必ずある。つまり、毎月何らかの銘柄が権利日を迎える。だから5ヶ月も一銘柄に固執するより、3ヶ月をワンサイクルと考えて、年間4回の効率を重視するんだよ。」




資金が多ければ、期間に捕らわれずに、騰がり出したら仕込めば良い。


しかし、初心者で資金が多い者はいない。


だから、資金効率を意識して、投資を心掛けなければならないのである。




「そういうことですかぁ〜。」



「そういうこと!」




ため息混じりに結衣が呟いた言葉に、独身中年男は笑顔で答えた。




「今からなら2月、来月なら3月、再来月なら4月ってことですね。」



「赤松さんの種銭の予定は?」




結衣の確認の言葉に、林野が質問をぶつける。




「タネゼニ??」




結衣に種銭などという単語を使うのは、いやらしい限りである。


普通に資金と言えば良いのに、わざわざ種銭と発言して玄人ぶって結衣の関心を買おうとしているところがいやらしいのである。


この場に林野の心の師匠が居れば、間違いなく頭を引っ叩いていただろう。




「投資に割く資金のこと。元手のこと。」



「あ、100万円くらいを考えてます。」



「それなら、2〜3銘柄しか買えないな。月によって対象となる銘柄数が大きく異なるけど、毎月1銘柄を選んで仕込んだらいい。」



「はいっ。」




林野の言葉に、素直に頷く結衣であった。

 

 

 



①勝負は、拙速を好む

 

②固まってはならない

 

10戦3勝7分を目指せ

 

④小損は大損の仇なり

 

⑤勝てると信ずるべし