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日経平均19,492.6
TOPIX1,568.7
騰落レシオ110.0%
RSI37.8%
乖離率△1.61%
売買指数△44



上昇相場の最終局面を説明する林野であったが、結衣は余りピンと来なかった。

そもそも結衣は、売ることを考えて投資をして来なかったので、仕方ないのことであるのだが。

ただ、全く分からないと言ってしまえば、林野の説明が終わりそうなので、何とかついて行こうと必死であった。





「それで、売れずに儲けが吹っ飛んでマイナスになった後、やっと戻って来ました。赤松さんならどうする?」


やっぱり来たかと思う結衣である。

そろそろ質問が来るだろうと考え、素直な答えを用意しておいて正解だったと、胸を撫で下ろす。


「売って減らす?整理する?」

「だよね。戻ってきたら、またガクンが来るのが怖くて、持ち高減らすのが当たり前。」

「やったー。」


林野の質問に即答出来たのが嬉しい結衣である。


「だからね、優待投資家でも例外なく持ち高減らすことになるでしょ、怖いから。減らすとなると、新規に買おうとはなかなか思わないでしょ。」

「ですよね。あ、でも、さっきの話で、下がったところを買おうと待ってた人がいたら!?」

「右肩上がりの相場で資金を残してるのは、余程の玄人かど素人だよ。そんな玄人がわざわざ優待銘柄を選んでやらないし、暴落してる時を待って、ど素人が買える?赤松さんは待てる?」

「待てないです。」


畳み掛けるように説明されて、質問したのをちょっと後悔する結衣である。


「でしょ、大概の人は待てないんだよ。だから、人気の優待銘柄といえども、チャイナショック前より、買おうと考えている投資家は確実に減っているんだよ。こういう理由で、チャイナショック前の水準に戻るとは必ずしも言えないんだよ。分かるかな?」

「分かります、良く分かります。そういう風に考えるんですね。」


さっき、結衣の表情が曇ったのを見逃さなかった林野は、口調がキツ過ぎたのだと悟った。

そこで柔らかい口調に変えたが、結衣の相づちが林野の関心を買おうとする感じだったので、更に説明が要ると林野は感じた。


「そっ。人は、悪い思い出や痛みは、優先的に忘れるようになってるから生きて行ける。ただ、忘れるにしても、ある程度の時間が必要。分かるよね。それと、こういう可能性は?と考えるのは良いことなんだけど、可能性がゼロってのは無い。限りなくゼロに近いのはあるけどね。だから、可能性がゼロじゃないからその仮定は成り立たないと諦めるより、可能性が低ければその仮定は成り立つ余地があると考えるべきなんだよ。」

「はい。」

「だから、低い可能性を怖がってては、何も出来ないからね。3073DDも、必ずとは言えないけど、騰がる可能性の方が高い。だから、買えない訳ではない。」


説明される一言一言は理解できるのだが、全体を考えるとどうしたら良いか分からなくなる結衣であった。




 

①勝負は、拙速を好む

 

②固まってはならない

 

10戦3勝7分を目指せ

 

④小損は大損の仇なり

 

⑤勝てると信ずるべし