林の錬金術師

「相変わらず、美波は辛辣だね〜。」


直之が軽い感じでチャチャを入れる。


「そうなんですか？」


美波の機嫌が悪くなっているのを察した結衣は、今度は隣の林野に尋ねた。


「そうだね。赤松さんは、長谷部みたいに７０銘柄持ってて、毎日チェックできる。」

「うーん、どうだろ？」

「分散投資はね、多くの銘柄を買ってる訳だよね。だから、一つの銘柄が急落しても、他の多くの銘柄が下がらない限り、大きな損は出ない。でも、逆もある訳。一つの銘柄が急騰しても、他の銘柄は騰がってないから、大して儲からない。」

「なるほど。」

「つまり投資方法としては、買った後は殆ど見ないような長期投資を考えてる時に有益な方法。」

「コラ、林野！中途半端なことを教えるな！」


再び不機嫌な美波が割り込む。


「そうなんですか？」


今度は美波に説明を求める結衣である。


「そうよ、長期投資でも分散より集中させる方が良いのよ。一番騰がる銘柄だけを持ってるのが一番良いのに決まってるでしょ。」

「そうですね。」

「分散投資は、銘柄を選ぶ能力が無い素人向けに、玄人ぶったヤツらが言う言葉よ。雑誌が分散投資を書くのは、素人相手に集中投資を論じても実践できないからだよ。」

「そうですね、じゃ、美波さんは集中投資なんですか？」

「そうよ。コレって銘柄が出てくるまでは買わない。出たら、全力で買う。銘柄も買う時期も、集中した方が良いんだから。」


熱っぽく話す美波を見て、凄いと思う結衣と佳奈であった。

 

①勝負は、拙速を好む

 

②固まってはならない

 

③10戦3勝7分を目指せ

 

④小損は大損の仇なり

 

⑤勝てると信ずるべし