160204









日経平均17,045.0
TOPIX1,388.8
騰落レシオ70.2%
RSI57.6%
乖離率△0.47%
売買指数△3



佳奈が父親から教えられた一つに、恐怖は立方体だと言うのがある。

投資をしている時に最も邪魔をするのが、内なる敵、つまり恐怖心だと言うことである。


「何それ?お父さん。」



「買い下がりしてる時の恐怖や。恐怖は、『相場の下落』、『含み損の拡大』、『種銭の減少』と言う3つの要素から生まれてくる。だから最初の仕込みが恐怖指数1としたら、次の恐怖は2やなくて、2×2×2の8になる。その次は、3やなくて、3×3×3の27になる。」

「ようわからんわ!もっと分かり易くいってよ。」

「下がれば下がるだけ、買い難くなるってことや。相場は下がれば下がる程、何処までも下げそうで怖さが増すやろ。」

「うん。」

「次に、買ったのが含み損になってる状況で、買い増せば含み損は急拡大するから、含み損が増えれば増えるほど怖さが増すやろ。」

「うん。」

「最後に、買えばどんどん資金が減るんや。下がれば買い増さないとダメなのに、その資金が減れば減るほど怖さが増すやろ。」

「うん。」

「だから、恐怖の立方体って言った訳。買い下がりは、下がれば下がる程買うと言う投資手法やから、怖がって買えなかったり、種銭が尽きて買えなかったりすることが、失敗の原因になる。この二つさえ回避できれば、成功するんだよ。」








「と、こんなことを言われたんです。」


パスタをフォークに巻き付けながら、佳奈が思い出して言う。

佳奈と一緒にランチしている結衣であるが、食べることを忘れて聞き入っていた。


「なるほど。林野さんも、恐怖は加速度的に増えるって、言ってたもんね。それで、具体的にどうしたら良いか、お父さんに聞いた?」

「だから、買いたい量の半分だけを買うんです。この話、しませんでしたっけ?」

「その半分ってとこだけ聞いた。」

「先輩、食べないんですか?冷めちゃいますよ。」

「あ、食べる、食べる。」


ぬるくなったカルボナーラを急いで口に運びつつ、考え込む結衣であった。




①勝負は、拙速を好む

 

②固まってはならない

 

10戦3勝7分を目指せ

 

④小損は大損の仇なり

 

⑤勝てると信ずるべし