林の錬金術師

「じゃ、どうしても、ど〜しても損切り出来なかったら、どうするんですか？」

「その時は、損切りしないで良い投資法に切り換えたら良いだけだよ。」


結衣にとって予想外の言葉が、林野の口から出て来た。


「えっ、そんな投資法あるんですか？」

「損切り出来ないのは、買って下がって売れないってことだから、買値以上に戻ってくるのを、ただひたすら待ち続けないといけないってことになるだけだから。この投資を長期投資って呼んで良いくらいだね。」

「ひたすら待つだけなんですか？」

「そう、株価がいくらに下がろうが、諦めることなく、ただひたすら待つだけ。」

「なーんだ。でも、待つだけって、それを投資法って呼んで良いんですか？」

「待つだけと言っても、ただ漫然としてるだけではないよ。まずは、下がっても自分が諦めないような銘柄を選ばないといけない。」

「諦めない？」


『諦めるって意味分からん！』と思う結衣である。


「いつ戻って来るか分からないんだよ。最悪、途中で倒産してパァになるかもしれない。6753シャープや6502東芝ですら、あんなことになる時代だからね。だから、いつ戻るか分からない恐怖、倒産するかもしれない恐怖と延々と戦い続けながら持続するんだよ。損切りの恐怖なんて切る一瞬だけだよ。切った後は、スーッとするんだから！」

「へーっ。（笑）」


後半戯けた林野に、結衣は笑いで返した。


「だから持続し続けるのは難しいってことは、分かってくれた？」

「は〜い。」

「だからこの為に、桐谷さんなんかが、優待銘柄が良いって言うんだよ。」

「あ、そっか。優待来れば、持ち続けられるよね。」

「他にも、高配当銘柄とか、大好きな企業とかだと持ち続けられる。次に、下がっても、出来るだけ早く買値に戻るような銘柄にしないといけない。そうでないと、本当に一生持ち続けさせられることになる。」

「それはどんな銘柄になるんですか？」

「小型成長銘柄が良いんだけと、こういう銘柄は安全性が低い。数年で倒産の可能性もあるからね。だから、良く会社を吟味出来るようにならないと、難しいね。」

「へ〜。（笑）」


結衣に確り伝わっているのかと不安になる林野であるが、結衣に説明することにより、『師匠はこういうことを言いたかったんだ！』と改めて実感できる林野であった。

<font color="#0000FF"><font size="3">①勝負は、拙速を好む

 

②固まってはならない

 

③10戦3勝7分を目指せ

 

④小損は大損の仇なり

 

⑤勝てると信ずるべし</font></font>