160710
先週末のSQ値は、15,331円であった。

現値15,107円はこの値を下回っているため、今週も基本路線としては弱気継続になってしまう。

ただ、SQ値を終値で上抜ければ強気転換となるので、早い段階での上抜けに期待したい。


今週の週足-1σは15,600円程度、-2σは14,950円程度まで下降して来る。

ここからの下値はそれほど深くないが、-1σを上回れなければ、上昇トレンド復活を期待できない。

特に月足-1σの16,023円を上抜けられないため、当分は下値模索を覚悟しなければならない。

ただ、今月に限っては月足-2σは14,622円であるため、こちらでも下値は限定的である。

突っ込み局面は強気対応でOKだろう。




よろずのに言われて上昇銘柄数をチェックし始めたことにより、結衣自身も色々と考え、気付き始めていた。

その中には、今までと違った疑問も多くなっていた。

また、林野に聞いてみようかとも思うのだが、林野も知らないことかもと思うと、恥をかかせるみたいで聞けなくなっていた。


『どうしよう?』と悩んで歩いていると、よろずのの後ろ姿が目に飛び込んできた。

『神の御恵み!』な訳では当然無い。

同じ会社、同じビルで働いているのだから、エレベーター前で会うことがあるのは当然である。


結衣は、一人エレベーターを待っているよろずのの後ろから静かに近づいて真横に立ち、ボソっと独り言のように話し掛けた。


「日経平均が下げていても、材料を出した数十銘柄は上昇してるけど、材料が出るのを先回りすることはできないよね。」


側から見ると、二人ともエレベーターを待っているようにしか見えない。

会社では挨拶程度しか話し掛けるなと言われていたので、無視されても仕方ないと思いつつ、結衣は挑戦してみたのだった。


「はい、インサイダーになりますからね。」


よろずのが優しい口調で答えてくれたので、驚きつつ結衣がよろずのの顔をチラッと見ると、よろずのも独り言を話すように、顔を動かさずに返事してくれていたのだった。


「日経平均が上昇する日は銘柄がかなり増えるけど、これは日経平均に引っ張られてるってことよね。」

「そうです。」

「だったら、日経平均が上昇を続け始めるタイミングで買いに入ると、成功し易いんだよね。」

「それを、トレンドに乗ると言います。」


よろずのの言葉と重なるように、エレベーターが到着した合図音が『プンッ』と鳴り、扉が開いた。

二人はバラバラに乗り込んで、バラバラに行きたい階のボタンを押して、扉を閉めた。


「よく、勉強してますね。」


扉が閉まるや否や、よろずの乗らない方から話し掛けてくれた。


「そう!?」


褒められて嬉しくなる結衣である。


「スイングだからって、毎日が買い場じゃないんです。スイングよりも大きな上昇波に乗るのが必要なんです。まずは日経平均の上昇波、買いたい銘柄の所属するセクターの上昇波、最後に買いたい銘柄の上昇波。この上昇波がトレンドです。」

「そうなんだ。」

「このトレンドに乗ることを意識していれば、大きな失敗はしませんよ。」

「2泊3日だったら、毎日何かしらの銘柄があると思ってたけど、これほど日経平均の動きに乗らないと難しいとは思わなかったわ!」

「こういうことは教えられてもちゃんと理解できません。ふーんって感じで右から左に抜けるようなものなんですよ。でも、自分で調べて気づいたら、凄く重要だと思いませんか?」

「思う!」


思わず力を込めて言ってしまう結衣である。


「だから、毎日チェックするように言ったんですよ。続けていれば、まだまだ気づくこと、出てきますよ。」


これだけ言い残して、よろずのは先にエレベーターを降りて行った。

その後ろ姿を見送った結衣は、意味なくちょっとムカつくのであった。


「あれ?どうして腹が立つんだろ??」


年下に教えて貰うのは、なかなか正直にはなれないものである。



①勝負は、拙速を好む

 

②固まってはならない

 

10戦3勝7分を目指せ

 

④小損は大損の仇なり

 

⑤勝てると信ずるべし