上昇トレンドに入れるかどうかの瀬戸際になってきた日経平均である。
先週は週足+1σの16,836円にタッチして戻す動きを見せていた。
日足でも、+1σを終値で上回る動きを見せいた。
この動きが、今週も続けられるかどうかが問題である。
今週の週足+1σは、16,900円程度まで上昇して来る。
これを支持線として、上値抵抗帯の突破を図れれば、追撃買いのチャンスとなる。
出来高も増加傾向であり、そこそこ可能性はあるだろう。
しかし、週末の米国市場から、週明けは反落の動きが予想される。
そうなると、日足ベースでは厳しい動きになってしまう。
+1σを終値ベースで維持できないと、上値追いの動きが止まってしまい、またまた上値抵抗帯に押し戻されることになってしまう。
そうなると、目先資金がリスク回避の動きに出て下値模索の動きになり、予想外に下落してしまうかもしれない。
河原町通りを流していると、数人の学生のグループに止められた林野である。
ドアを開けると、一人の子が覗き込んで林野に尋ねた。
「あのおばあちゃん、荷物持って大変そうだったんで尋ねたら、タクシー乗りたいって。お客さん、あのおばあちゃんなんですけど良いですか?」
林野がその子の後ろに目をやると、学生たちの中心に1人の老婆が座り込んでいた。
この間の研修を受けて高齢者には優しくしようと思っていたことから、林野が笑顔で了承すると、学生たちは老婆を立たせて後部座席に誘導して、荷物まで乗せてくれた。
この時に気付いたのだが、荷物はゴミ袋で梱包された一斗缶2つであった。
行き先を聞くと、ワンメーターで行ける市立図書館であった。
「お客さん着きましたよ。」
林野がメーターを止めながら話し掛けた。
ところが老婆は、黙って前を見ているだけで、林野の言葉を聞き流していた。
『あれ?まさか・・・。』と思いつつ、更に林野が言葉を掛けた。
「おばあちゃん、この図書館来たことあるの?」
「おう、毎日来とる。」
「中に知り合いいるの?」
「おるよ。」
「その人のところまで案内して貰っていいかな?」
「おう。」
林野がドアを開けると、老婆は一人で歩き出したので、荷物を持って林野は後に続いた。
受け付けまで来ると、一人の職員が老婆と林野を見つけて近づいて来た。
「どうしたんですか?」
職員は老婆ではなく、林野に尋ねて来た。
林野はここまでの経緯を手短かに説明した。
「あ、そうなんですか。この方は、少し認知症が出ていて、そこの喫茶店で無線飲食の常習犯なんですよ。だから、この間から、息子さんから飲食代を預かってるんで、そこから支払って良いかどうか確認しますね。」
「はい。」
職員が事務所の中に入ると、代わって別の職員が出てきて、今度は老婆に話し掛けた。
「木村さん、今日は何を持ってきたの?」
「あぶら!」
「油って、なんの?」
「捨てるあぶら!」
「うちでは廃油の引き取りはやってませんよ。」
「市役所に持ってったらええって・・・。」
「ここは市の施設ですけど、市役所でないんで引き取れませんよ。持って帰って下さい!」
このやり取りを横で聞いている間に、最初の職員が戻って来た。
「すみません、息子さんに電話したんですが出なくって・・・・。どうしようかなぁ~。」
「あ、料金ならいいです。それより、おばぁちゃんはこのままで大丈夫ですか!?」
「それは大丈夫です。」
「それなら料金は不要ですので、失礼させて貰います。」
ここで初乗り分の運賃に拘って時間を無駄に過ごすより、諦めて別の客を探した方が良いと思った林野であった。
それにしても、本当に「認知症はやっかいだ。」と再確認するのだった・・・・。
①勝負は、拙速を好む
②固まってはならない
③10戦3勝7分を目指せ
④小損は大損の仇なり
⑤勝てると信ずるべし